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category : 沖縄&石垣島の昔ばなし 2014.9.8

昔、石垣島の東海岸に小さな村がありました。
その村の名を野原村といい、村のはずれには美しい岬がありました。

岬からの眺めはすばらしく、月がのぼると、波はきらきら光り、まるで星屑をちりばめたようでした。
そんな夜、若者たちは岬に集まり、三味の音や指笛に合わせて歌い踊りました。

さて、そんなある月夜のことでした、若者たちがいつものように岬で遊んでいると、沖のほうから、なにやらものがなしい歌声が聞こえてきました。

「おや、いまのはいったい何だろう。」
「風の音かも・・・・。」

若者たちは耳をすましました。

すると、こんどは波の音にまじって、すきとおるような歌声がはっきりと聞こえてきたのです。
細くゆっくりとながれてくる歌声に、若者たちはうっとりと聞きほれてしまいました。
ふしぎなこともあるものです。
それからというもの、波の静かな月夜になると、決まって美しい歌声が村の岬に届きました。

そんなある夏の日のことです。
野原村のおじいさんが、サバニ (小舟) で漁に出ていきました。
波の静かな、雲ひとつない晴れた日でした。

沖に出ると、おじいさんは、
「海の神さま、いつもいつも、わしら海ンチュ (漁夫) を守っていただきありがとうございます。」
と手を合わせ、それから、えいっとばかりに網を投げました。

その日は、おもしろいように魚がとれたので、おじいさんは、何度も何度も網を投げてはたぐりよせていました。
夢中になっているうちに、あたりはすっかり暗くなり、飛び跳ねた魚が月明かりできらっと光ります。

「おやおや、もうこんな時間か。そろそろ帰らねば、ばあさんが心配する。」
おじいさんは最後の網を引きました。
ところがどうしたことか、網が重くて引けません。

腰を落として、力をふりしぼり、もう一度引きます。
ぐぐっとほんの少し動きました。さらに力がこもります。

顔を真っ赤にしたおじいさんは、やっとのことで、網を船べりまでたぐりよせました。
「こりゃあ、すごい獲物だぞ。」
はやる心を押さえながら、網の中をのぞいたおじいさんは、はっと息をのみ立ちつくしてしまいました。
なんと網には、美しい人魚がかかっていたのです。

「あ、あんたはいったい・・・。」
「私は人間ではありません。海に住む人魚です。」
「なに、人魚だって・・・・。」
「どうか、わたしを海にもどしてください。」

人魚は、おびえた目で、じっとおじいさんの顔を見つめました。
おじいさんは、どうしたものかと迷いました。
話には聞いたことがありましたが、人魚を見るのははじめてでした。
とらえて、村のひとたちに見せてやりたいような気もします。

「もし逃がしてくださるなら、海の秘密をお教えいたします。」
人魚は涙を流しながらたのみました。

おじいさんは、ほんの少し惜しい気もしましたが、ひどくおびえている人魚がかわいそうになり、人魚は、うれしそうにサバニのまわりを泳ぎながら、
「おじいさん、ありがとう。明日の朝、この石垣島は大津波に見舞われます。人も、動物も、家も、畑も、流されてしまうでしょう。どうか、村に帰ったらいっこくも早く山のほうへ逃げてください。」
と、いいのこして、海の中へすーっと消えて行きました。

さあ、たいへんです。
月夜の海を、おじいさんは村へといそぎます。
早く知らせてあげねばと、けんめいにサバニをこぐおじいさんの耳に、どこからともなくあの美しい歌声が聞こえてきました。

「そうか、あの歌の主は、人魚だったのか。あの人魚は、きっと海の神さまの使いにちがいない。」
おじいさんの話に、おどろいた村の人たちは、さっそく山へ逃げるしたくをし、足の速い若者をとなり村に走らせました。

ところが、となり村では、そんなばかな話は信じられない、と取り合ってくれません。
それどころか、しまいにはおこりだすしまつです。
知らせに走った野原村の若者は、しかたなく引き返しました。

朝になりました。
まんじりともしない夜を明かした野原村の人たちが、あまりの静けさに、半信半疑になりながら海を眺めているそのときでした。

満潮にもかかわらず、沖に向かって潮がいっせいに引きはじめ、いままで姿を見せたことのない海の底さえ、すっかり干あがってしまったのです。

このふしぎな海の動きに、野原村の人たちがおどろいているあと、とつぜん、沖の海がふくれあがり、それがよこに延びたかとおもいきや、山のような波となって、どっどっどどどーと、ものすごいいきおいで島におそいかかってきたのです。

ごーっというはげしいうなりは、まるで地の底からひびいてくるような不気味な音でした。
たちまち浜から村へ、そして畑をいっきにのみこんだ波は、一瞬、引いたようでしたが、野原村の上で巨大な渦となってさらにおしよせてきたのです。

崖はくずれ、大木さえも押し流され、波しぶきのために島中が水びたしになりました。
すべてのものが、まるで大きな口をあけた化け物にのみこまれてしまったかのようです。

野原村の人たちは、あまりのおそろしい光景に、声もなく、ただただふるえているだけでした。

どれくらいの時間がすぎたでしょうか。いつのまにか海は、なにごともなかったかのように、もとのおだやかな姿にもどっていました。
けれども、津波になめつくされた村は、打ち上げられた海の岩が見えるだけで、あとかたもなく消えうせていました。

家や畑は失いましたが、野原村の人たちは、命が助かったことをよろこび合いました。そして人魚に感謝しながら、力を合わせて村のたてなおしにはげみました。
人魚の話を信じなかったとなり村の人たちは、一瞬のうちに、海のもずくとなって消えていきました。山へ働きに出ていた人たちだけが、生きのこることができたのです。
野原村の岬には、いまでも波の静かな月夜になると、人魚の歌声が聞こえてくるそうです。

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